大工見習い
十九の秋に出稼ぎで上京したけど、三ヵ月後には、職なし宿なしでした。帰る旅費がなく、旅費をつくるため車中泊をしながら仕事を探し、ようやっと仕事に就けたのは二十歳になってからでした。飯場で寝泊まりし、田舎に仕送りしながら帰る旅費を貯め、帰ろうと思いましたが、お世話になっている親方のことを考えると、帰りたいと言い出せず、気がつくとまた冬になっていました。飯場では六十過ぎの先輩と同部屋で、先輩は夜の九時になると電気を消して寝てしまう人だったので、それに合わせて寝ていましたが、ある日、なかなか寝付けなかったので、気晴らしに近くにあるスナックに行ってみることにしました。そのころはお酒が飲めなかったので、カウンターに座りコーラを飲みながら、ときどき話しかけられる質問に応え、眠くなるまで店にいました。ある土曜の夜、仕事から帰ると、少し調子が悪く、なかなか寝付けなかったので、またスナックに行くことにしました。店に行くと、「顔が少し赤いようだけど大丈夫」と尋ねられ、「平気だよ」と応えると、コーラを出してくれました。そのコーラを飲むと、いつもと違う味がしたので、体調のせいかな~と思いながら少しずつ飲んでいました。すると、スナックのママさんから、そのコーラに少しお酒を入れてあると言われ、やっぱりそうかと思いながら少しずつ飲んでいると、急に気分が悪くなり動けそうもありませんでした。
